無意識のメッセージ

精神分析では、私たちが無意識のうちに何を表現しているかを考えます。今回は、その一つの例を紹介しようと思います。最初がAさん、Bさんの実際の会話、次に続くABとのやり取りが「無意識のメッセージ」として読んでみてください。

実際の会話

A:「やっぱり、東京はすごいですよ。他の都会と比べて、競争が激しいし、究極まで頑張らないと、やっていけません。」

B:「アメリカはおおざっぱなところがありますけれど、さまざまな人がいて、実力のある人も多いです。」

A:「でも、アメリカ社会にいる日本人は、マイノリティーですから、差別されたりしています。」

B:「日系人は、他のマイノリティーと比べても、白人と比べても、地位も所得も高い人が多く、マイノリティーに属さないと言われています。」

A:「マイノリティーというのは二つ意味があるわけですか。一つは不利なグループという意味で、もう一つは、単なる少数人種という意味ですね。」

 

無意識の会話

A:「私は普段から激しい競争に勝ってきているから、君よりは優等なんだ。」

B:「そうは言われても、自分なりに実力はあると思うし、君より劣っているとは思わない。」

A:「思った通り、君は自分のことをよく理解せずにそんなことを言う馬鹿だから、私の仲間には到底入れまい。」

B:「この人本当に解っていない。私は君より立派にやっていると思う。だから、君の仲間に入ろうという気持ちなど起こらない。」

A:「私は最初から、君が劣っているなんで言ってない。ただ、自分が優等だといっているだけなのだ。」

 

無意識と言うものは、対人関係に夢中になっているところがあります。ですから、表面的には、ある事柄の内容について話しているのですが、よく見てみると、それが微妙に対人関係の様子を表していることがあります。書いた例を見てみると、表面的には日本とアメリカを比べているようですが、実はその内容を使って、二人の対人関係の調整を図っています。この場合、Aさんは対人関係を使って、自分が優等でありたいという欲求を満たそうとしています。Bさんは、同じ欲求はないものの、Aさんの押し付けを中性化するかのように、かわしています。その結果、Aさんは、押し続けることができず、救い言葉を言って諦めます。

 

Aさんの欲求は、Bさんとの関係だけで出るということは、少ないでしょう。他の人とでも、例え会話の内容が何であれ、それを使って知らずのうちに、自分を優等扱いしてしまいそうです。無意識の中に隠れた欲求は、それが意識されるまで、知らないうちに対人関係の中で現れてしまいます。でも、それが自覚できると、他人に対して表現しなくなります。精神分析は、その意識を促すプロセスとして見ることができます。

 

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