まとめてするか、分散するか。

  しばらく前に心理学の研究で、まとめて学習するのが効果的か、それとも学習する内容をいくつかに分けて何回かにわたって勉強するのがよいのか、と言う問題がありました。テストのために一生懸命勉強する人にとって、下手をすれば合否の差がつくのではないかと結構真剣にとらえられたものです。

  もう少し具体的に言いますと、例えば、テストの前にその領域内容を一気に詰め込んで勉強するやり方が一つ。または、同じ内容を10等分とか10段階に分けて、それを10回にわたり、テストのもっと前から少しずつ勉強していくやり方です。どちらが効果的なのでしょう。

  ここまでの条件だけですと、分散して勉強した方が、効果があると言われています。その理由は、何回かに分けて学習をする方が、学習内容のさまざまな部分に目が行き届き、いろいろな面に気が付くので、記憶がもっと安定するということです。また、いっぺんに全部覚えようとしても、量が多い場合などには、記憶力も飽和してしまい、努力の甲斐があまりないということもあるでしょう。

  実際に試して見ますと、確かにこの研究が予期するように、分散して学習するほうがよく覚える気がします。しかしながら、それと同時に、違う要素が働いていることにも、気が付きます。

  それは、学習する本人の心理的状況です。心理的状況とは、その人のやる気 motivation、そのときの集中力 concentration、頭の鮮明度 mental clarity、不安 anxiety、心配 worries、そして体の健康 physical healthなどを含めます。これらの条件が集中学習や分散学習の状態に大きな影響をしてきます。

  先ず、集中学習を考えて見ましょう。これは一発勝負みたいなものですから、そのときにちょうど心理的な条件がよい方にそろったときは、運がよいと言えるでしょう。例え一回だけの集中学習といっても、頭がはっきりしていて、集中力があり、やる気満々で他に心配などがない時には、かなりよい効果を期待できると思います。でも、私たちはいつもそういう状態ではありません。どっちかというと、最高条件がそろうときの方がまれと言ってもよいくらいです。通常は最善と最悪の間の状態が多いわけで、学習をするときには、良いときもあるし悪い時もあるわけです。そうしますと、集中学習はかなりリスクが高い学習法ということになります。

  ところが、分散学習の状態を見てみますと、何回かにわたって学習をするわけですから、心理状況がやや良い時に行われたり、または、それがやや悪いときに行われたりします。悪いときに効果が期待できなくても、次回良い状態が存在し良い結果が出るかも知れません。それを平均すると、リスクの低い勉強方法と言うことができるでしょう。その上、上記したように、回数を重ねることによって、いろいろな面に目が届き、記憶も良くなるということになります。

  ところで、集中か分散かの方法については、学習方法だけに限られているとも思えません。他の場面にも応用してみると、興味深い結果も得られそうです。あるプロジェクトを成し遂げるとしましょう。それが、宿題であろうが、仕事であろうが、いっぺんにするより何回かに分けて少しずつしたほうが、質が良い結果となることもあります。特に完璧的な人は、いっぺんに何かをしようとすると、完璧な結果を求めるために、手が出なくなってしまうことが多いです。その代わりに、少しずつ手をつけます。そうすると完璧的なプレッシャーが減って、仕事が進むといった具合です。

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