自己紹介
心理学は面白いと思います。心理学を生活にも仕事にも遊びにも使って、日夜、人生の向上に努めています。心理学はセラピーに使われるだけでなく、自分の向上に大変役立つ知識と考え方だと思います。
1982年以来、臨床心理学者として、さまざまな心の問題の診療に携わってきました。最初は子供の問題を主に取り組んでいました。これがカリフォルニア州パサディナ-カンサス時代で、たいへんアメリカの勉強になったころです。カンサス州のちょうど真ん中辺りにあるサライナという小さな町でいろいろな活動をしていました。ちょうどそのころアメリカでは、子供の性的虐待の問題に、焦点がおかれており、私も子供を扱う治療者として、その問題の研修をし、クリニックにおいて、性的虐待治療プログラムを設立しました。カンサスの田舎の中で、知らずのうちに性的虐待が起こっていたことは、驚くべきことでした。
また、青少年放火魔治療プログラムを、地元の消防署との協力で設立し、放火魔が逮捕された後、その子の治療にあたったこともありました。また、これも不思議な話で、ちょうどそのころアメリカでそのようなプログラムを各地で作っていました。ファイアマンも放火魔青少年の教育に熱心でした。もちろん放火魔青少年もいろいろな心の問題を抱えていましたので、私はその問題解決の援助をしていました。
田舎では、心理学者が不足でしたから、いろいろな場所に借り出されました。何のきっかけで、始まったのかは忘れましたが、ホスピスプログラムの人たちに座禅を教えたことがありました。アメリカの真っ只中で、周りが皆クルスチャンであるのに、その人たちに、禅の教えを説いて、その後みんなで真冬夜9時過ぎまで座禅を組んでいただなんて、今考えてみても驚きなんです。彼らも、外国人がほとんど見られない土地で、へんな日本人がへんな事を言っているとしても、結構オープンで暖かく迎えてくれていたんですね。
患者さんの中に子供は多かったですから、学校の先生とお話をすることはちょくちょくありました。そのうちにいくつかの小学校の先生方と知り合いになり、その続きで、その地区の先生方の研修に招かれるようになりました。そこでは学校の休み中に、地区全体の先生方が集まり、いろいろなトピックに関して勉強会を開いていたんです。会場に行きますと、先生方がいくつかのクループに分かれ、それぞれの分野の専門化を中心に、熱心に勉強をしていました。私はセルフエスティーム、すなわち自尊心のお話をしたんです。クラスで先生方がどのようにして子供の自尊心を高めていくかということでした。
そんなことをしているうちに、今度は教会から、その自尊心の話をしてくださいと依頼され、日曜日に自尊心の講義になってしまったんです。私はクリスチャンではなかったのですが、そんなことはおかまいなしでした。皆熱心に話を聞いてくれました。その上、皆素直で、内容をよく受け取ってくれたんですね。こちらの方が、感謝の気持ちでいっぱいでした。
月例のペアレンティングクラスなんていうのもありました。そのころサライナ市では、妊娠をすると、出産までに一度ペアレンティングクラスに行くように、病院で勧められていたんです。それで私の勤めていたクリニックにお母さんになる人達、そしてお父さんなる人達が集まりました。それが皆仕事が終わってからの夜7時からですから、クラスが終わると9時を回っていました。でも、毎回20-30人は集まっていたんです。私も、まあ、皆さんよく妊娠するもんだなと感心していました。
もう一つ画期的なプログラムが行われていました。ファミリードクターになる先生方が、近くの病院でトレーニングを受けていたのですが、その人達の精神問題に対する理解を増やすために、定期的にセミナーを開き、さまざまな心の問題に関して教えていました。そうすることによって、健康の第一線で働くファミリードクターが心の問題を早い時点で見極め、適当な措置をとれるように、目指していました。なんとなく気分がよかったです。
カンサスのこの地区は、心理学者が少なかったですから、私の一つの役は、サライナの隣の町で、アイゼンハワー大統領のホームであったり、昔は保安官ワイルド・ビリー・ヒッコックが活躍したアバリーンまで毎週水曜日に出張をしていました。アバリーンに住む患者さんをまとめて一日に診療していたわけです。冬のある水曜日朝から、雪がたくさん降っていました。地元出身のクリニックのディレクターに電話をして相談したら、この程度ならカンサスでは当たり前だから、恐がらずに行くべきとのことでした。私も、「そうか、患者さんの期待にそむいてはいけない。」とふるいたって、出発したのでした。フリーウェイは雪だらけ。滑らないようにゆっくり運転をしていきました。日本にいた時だって雪の中を運転したんだから、そんなに変わらないと思っていました。何とか雪のフリーウェイ運転になれたころのことでした。前方は空いて前の車との距離が出始めました。アクセルをちょっと踏み込みました。そして少し行きますと、車のおしりが左右に揺れだしたのです。ちょっとあわてて、ブレーキをちょっと踏みました。すると、車が左に回転をしだし、270度近くも回転してしまったのです。つまり、車は私が来た方向を向き、更に回転をしてフリーウェイとほぼ直角の位置になりました。それから、車は更にすべり、後方から、フリーウェイを落ちていったのです。「うぁー!」といっている間にフリーウェイのバンクを落ち、雪に埋もれて停止しました。
我に返って、自分に怪我のないのを確認し、そして車から脱出するのが大変でした。何せ車の前方はほぼ上を向いていますし、ドアは雪で閉ざされていました。少しずつ雪をはらいのけながらドアを開け、車の外へ出ました。そして車の無残な姿をみました。「これ、いったいどうすればいいんだろう?」フリーウェイの路肩に呆然と立ちすくんでいたやいなや、私の隣に車が止まりました。そして白人の男性が声をかけてくれたんです。その人が私を救い、アバリーンのクリニックまで私を届けてくれました。「神様ありがとう。」っていうのはこういうときで、なんとその人は、牧師さんだったのです。彼が日本にいたときに、大変お世話になったということで、日本人の私にお返しということでした。なんと運がいいのでしょう。この恩は一生忘れません。親切な人がいるんですね。
もちろん普段は、クリニックの外を飛び回っているのでなく、私のメインの仕事は、オフィスで患者さんの治療をすることでした。ファミリーセラピーをしたり、プレイセラピーをしたり、個人セラピーをしたり、心理テストをしたり、いろりろでした。ある日、白人のおじいさんがセラピーにやってきました。2、3回面接に来た後でしょうか、彼いわく、「Remember
Pearl Harbor?」(日本軍のハワイ真珠湾攻撃のこと覚えているか?)。もちろんそんなこと覚えているはずがありません。私が生まれる前のことですから。しかしながら、日本人のいない地区で働いていると、こういうのがたまには出てくるんですよね。一回だけではありませんでした。表面的にとりますと、日本人を攻めているかのように、聞こえるのですが、心理的には実はそうではないのです。セラピーでよくあることですが、何回かセラピストに会った後、患者さんの持っている気持ち的な抵抗を取り除き、信頼を作っていくための、一つの動きであるわけです。たまたま、私が日本人でしたから、このような質問が出てきたのでしょう。他のセラピストでしたら、それなりの質問が出たことでしょう。おじいさんには、私の方から興味をもって、お話をしてもらい、真珠湾攻撃がどのように彼の人生に関わってきたのかを理解することで、彼の本題の問題に進んでいくことができたのでした。
もう一つ、今でもたまに思い出すことがあります。10才くらいの男の子でしたけれど、何回か私のところへ通って、彼の問題は解決に至ったころでした。私はカンサスでの仕事を終えて、カリフォルニアに戻る準備をしていました。その男の子にも、私がクリニックを去るという計画は言ってあったのです。彼との最後のセションは、その日最後のセションでもあった夜8時だったと思います。セションの終わりに、彼がポケットの中から何かを取り出して、私の机の上に置きました。小さなねずみみたいなもので、灰色の毛がはえていたんです。生きてはいなくて、はくせいのようになっていました。尻尾のところにはチェーンが付いていて、何かにぶら下げられるようになっていました。彼のいつも持っていたお守りだったのです。それを私にくれると言いました。ちょっと変わったお土産とは思いましたが、その子の気持ちはよく解りました。自分で大切に持っていたものを私に分けてくれたんです。私はありがたくちょうだいし、彼はセションを去って行きました。そして私が机に向かってノートをとっていますと、何か右の方で人気がするのです。そちらを向きますと、さっきの男の子が窓の外で暗闇に立って私を見ていました。私は驚きましたが、すぐ自分を取り戻し、さっきもらったねずみを持ち上げて、彼に向かって見せました。すると彼は微笑んで、どこかに飛び去って行きました。数日後、私は荷物を積んで、コロラドに向かって出発しました。1984年の春でした。つづく…………
Psychologist
Physician, American Psychologist Physicians’ Register
Founding
Fellow, American College of Advanced Practice Psychologists
Fellow,
American College of Forensic Examiners
Diplomate,
American Board of Psychological Specialties
Board
Certified in Forensic Medicine and Diplomate, American Board of Forensic
Medicine
Board
Certified Forensic Examiner and Diplomate, American Board of Forensic Examiners
Senior
Disability Analyst and Diplomate, American Board of Disability Analysts