不思議な頻尿

    ある女性大学生が相談に来ました。話によりますと、尿があまりにも頻繁に出て、困っているという事でした。なにしろ30分もしないうちに、またトイレに行きたくなってしまい、外に出かけることが出来ません。学生ですから、授業に行かなければならないのですが、車で学校へ行くまでに、トイレに一度は寄らなければなりません。また、授業中も一度は、トイレに出ると言うことです。ところが、家にいるときは、問題がなくなるというのです。いろいろと身体検査をしてみましたが、異常はありませんでした。

精神的なストレスがあるとき、それを無視したり、否定をしたりしますと、しばらくして、何かの形で体に現れだします。緊張から来る頭痛や肩こり、高血圧や胃潰瘍、そして下痢や便秘などは、比較的精神面の影響が多い病気の例です。原因となるストレスの解消によって、これらの問題もよくなります。

治療を始めて、この女性の理解を深めていきますと、数ヶ月ほど前に、好きな男性に拒絶をされていることが解りました。ある日、彼女の女友達が、彼と性行為をもったことを発見してしまったのです。彼女はショックで、彼とも女友達とも連絡を途絶えてしまいました。彼女の自信と自尊心が傷ついたことは、いうまでもありません。その後、彼女はその時には気がつかなかったのですが、人前で、自分のことを噂されているような気がしたり、評価されているように思えたりしだしました。居心地が悪くてトイレに逃げ込むようになったのです。

この居心地の悪さを、心で受け入れられていれば、それ以上の進行はなかったでしょう。しかし、彼女はそれを抑圧してしまい、その感情が、いかにもコントロールがないかのように、頻尿という形で現れたのです。治療は彼女の問題の経過の逆の進路をたどり、トイレに行きたいという不安感を、人前での不安感に戻しました。そして彼女は、その不安感を認め、経験できるようになったのです。また、その気持ちが、前の彼による拒絶から来ていることも解りました。治療によって次第に自信を取り戻すことができ、トイレに行く回数も減ってきたのです。

メニューに戻る